キャスト加工で使用する貴金属は、素材ごとに融点・比重・硬度が異なり、鋳造の難易度や仕上がりも大きく変わります。この記事では、ジュエリーで使われる主要4素材(シルバー・ゴールド・プラチナ・真鍮)のキャスト加工の特徴を比較します。
貴金属の基本データ比較
| 素材 | 純度 | 融点範囲(合金) | 比重(合金) | ビッカース硬度 | 収縮率 |
|---|---|---|---|---|---|
| Sv925 シルバー | 銀92.5% + 銅7.5% | 約825〜910℃ | 約10.3〜10.4 | 70〜150Hv | 3〜8% |
| K18 YGゴールド | 金75% + 銀・銅25% | 約880〜950℃ | 約15.5〜15.6 | 120〜250Hv | 3〜8% |
| Pt900 プラチナ | Pt90% + 割金10% | 約1,700〜1,800℃ | 約19.0〜19.9 | 60〜130Hv | 2〜6% |
| 真鍮 | 銅60〜70% + 亜鉛30〜40% | 約900〜940℃ | 約8.5 | 80〜150Hv | 3〜8% |
※合金の融点・比重は配合比率により変動します。Pt900の融点は割金の種類(Pd/Ir/Ru)により異なります。
(出典:吉田キャスト工業「銀合金の比重と融点」 / 吉田キャスト工業「金合金の比重と融点」 / ジュエリークラフト「貴金属のビッカース硬度」)
シルバー(Sv925)のキャスト加工
特徴
- 最もコストが低い貴金属。試作品やアクセサリーに最適
- 融点が比較的低く、鋳造しやすい
- 比重が軽いため、大ぶりなデザインでも軽量に仕上がる
- 加工性が高く、研磨・仕上げがしやすい
注意点
- 硫化による変色 - 空気中の硫黄と反応して黒ずむ。ロジウムメッキで防止可能
- 強度がやや低い - 細いデザインは変形しやすい
おすすめ用途
アクセサリー、試作品、プロトタイプ、コストを抑えたジュエリー
K18ゴールドのキャスト加工
特徴
- 高級感と耐久性のバランスが最も優れた素材
- 変色しにくく、日常使いのジュエリーに最適
- 合金の配合によりカラーバリエーションが豊富
カラーバリエーション
| 種類 | 配合(金75%+) | 色合い |
|---|---|---|
| K18YG(イエローゴールド) | 銀・銅 | 温かみのある黄色 |
| K18PG(ピンクゴールド) | 銅多め・銀少量 | 華やかなピンク |
| K18WG(ホワイトゴールド) | パラジウム・銀 | プラチナに近い白色 |
注意点
- 合金の配合比率がキャスト品質に影響。銅の含有量が多いPGは鋳造温度の管理が重要
- 地金価格が高額 - 金相場の変動により費用が大きく変わる
金地金価格は2024年以降高騰が続いており、宝飾品の製品単価も上昇傾向にあります(出典:日本経済新聞 2025年2月)。
おすすめ用途
ジュエリー全般、ブライダルリング、ギフト商品
プラチナ(Pt900)のキャスト加工
特徴
- 最も耐久性が高い貴金属。変色・変質しにくい
- アレルギーを起こしにくい素材
- 白く上品な光沢が特徴
注意点
- 融点が非常に高い(1,770℃)ため、専用の鋳造設備が必要
- 遠心鋳造が推奨 - 凝固が早いため、真空吸引鋳造より遠心鋳造が適している(出典:吉田キャスト工業「遠心鋳造」)
- 比重が最も大きい(21.45 g/cm³) - 同じサイズでもゴールドより重くなる
- 地金価格が高額
おすすめ用途
婚約指輪、高級ジュエリー、長く使い続けるアイテム
真鍮のキャスト加工
特徴
- 最もコストが低い金属。試作やプロトタイプに最適
- 融点が低く加工しやすい
- メッキ処理でゴールドやシルバーに近い外観に仕上げ可能
注意点
- 緑青(ろくしょう)が発生 - 湿気で表面が変色する
- 金属アレルギーの原因になりやすい - 銅・亜鉛に反応する人がいる
- 長期使用には不向き。あくまで試作・量産品向け
おすすめ用途
プロトタイプ、形状確認、低価格帯のアクセサリー、量産パーツ
素材選びの判断フローチャート
- 1試作品・形状確認がしたい → 真鍮 or シルバー
- 2コストを抑えてアクセサリーを作りたい → Sv925 シルバー
- 3販売用ジュエリーを作りたい → K18 ゴールド
- 4カラーバリエーションが欲しい → K18(YG/PG/WG)
- 5最高の耐久性・婚約指輪 → Pt900 プラチナ
MESREHの対応素材
MESREHでは、シルバー・ゴールド・プラチナのキャスト加工に対応しています。
| サービス | 料金(税込) | 備考 |
|---|---|---|
| キャスト加工(シルバー) | ¥440〜 | 5gまで。地金代別途。最低注文金額なし |
| キャスト加工(K18・Pt) | お見積り | 素材・重量により変動。地金代別途 |
| 研磨・石留め・メッキ等 | お見積り | 仕上げ内容により変動 |
素材の選び方で迷った場合は、ヒアリング時にご相談ください。デザインや用途に合わせて最適な素材をご提案いたします。
まとめ
キャスト加工の素材選びは、デザイン・用途・予算のバランスで決まります。シルバーは試作やコスパ重視に、K18は販売用ジュエリーに、プラチナは最高級品に最適です。各素材の特性を理解した上で、目的に合った選択をしましょう。
出典・参考資料
- 金属の物理的性質データ(fintech.co.jp) - 純金属の融点・比重
- ジュエリークラフト「貴金属のビッカース硬度」 - 各素材の硬度
- 吉田キャスト工業「遠心鋳造」 - プラチナの鋳造方式
- 日本経済新聞(2025年2月) - 金地金価格の高騰
※本記事は2026年4月時点の情報に基づいています。
※融点・比重は純金属のデータです。合金では組成比により変動します。
最終更新日:2026年4月6日